充電終わったらキスしよう





春人はしばらくあたしの額に手を当てたまま、ジトーッとした目であたしを睨んでいた。

が、少ししてから右手を下ろして息をついた。


「…大丈夫です、熱はないです。よかったあ~……」

「さすが風邪引きのプロは違う。」

「そんなプロ嬉しくないです!あ、熱はなかったですけど冷え切ってたんでお風呂入ってきてください!」

「……はあ。」

「そのまま上がっていいですから!掃除は俺がしときます!あ、服も持っていきますから!」

「…………。」

「キョウちゃん先輩、早く!」

「…え、あー、はいはい。」


思わず春人を凝視してしまった。

なんていうか、なんというか。

成長したなあ、と。

中学の頃は、もう丸きりあたしに頼りきってたし、間違ってもあたしにこういう指図というかそういう類のことを言ったことはなかった。

それが今じゃ、熱のあるなしもわかる、まだまだ初級かもしれないけど気配りもできる、あたしの心配もできるくらい、自分の管理ができるようになってる。

バタバタと階段を駆け上って行く春人を見届けてから、ずぶ濡れ状態のまま玄関に上がるあたしの背後で、不意に。


「…ハルもね、頑張ってるんだよ。」


今まで黙っていたノアがそんなことを言ったから、あたしは思わず立ち止まって後ろを振り返った。

けれどそれを見計らったかのごとくあたしの隣をさっさと歩いて行ってしまったノアなので、結局ヤツがどんな顔して言ったのかわからなかった。