充電終わったらキスしよう





それにしてもデッカイ水たまりでさえ躊躇なく踏んでいけることへの清々しさと言ったら。

昔は長靴履いて水たまりをワザとばしゃばしゃ踏んで行って周りの人に多大なご迷惑をかけたクソガキだった頃のことを思い出しますって卒業式か。

でも今なら周りに人居ないし別にばしゃばしゃしちゃってもいんじゃね。

というクソガキ本能が蘇ったあたしは、目の前にあったデッカイ水たまりにばしゃっと入って、バシャッと水を蹴り上げてみた。

そしたらバシャッと、突然現れた(とあたしは思った)人影に水がかかったから咄嗟にスライディング土下座でもかまそうかとスタートダッシュの体勢を構えようとしたところで不意に。


「……何してんの、ミャーコ。」


聞き慣れた、あたしには似合わな過ぎるあだ名で呼ばれて、思わず顔を上げた。

顔を上げた先には、しゃがみこんだあたしを見下ろす、今日も今日とて寒ささえ感じる程度には冷めた目があって。

その冷めきった目が、今日に限って少し優しい気がしたのは、あたしの頭が雨に打たれすぎてぶっ壊れたからかもしれない。


「……ノア」

「全然来ないから、迷子にでもなってんじゃないかと思って。」


わざわざ迎えに来るなんてお前らしくないじゃないか。

でも悔しいことに、それが今日はありがたかったから、あたしは何も言わないでおいた。

ノアがしゃがみ込む。

あたしの頭の上に降っていた雨がやむ。

ノアのさしていた傘の中に、あたしも一緒に入る形になったから。

っていうか近ぇよ。

こっち見んな近ぇよ。