『……キョウちゃん、キョウちゃんどうしよう』涙声すぎて聞き取りづらかったけど、たぶん未来はそう言った。
『はいはい、なんだい』
『あたし、あたし何もわかんなかった…ッ』
『うん』
『お姉ちゃん大好きだったクセに、お姉ちゃんがアンドロイドになってるなんて、あたし全然わかんなかった…ッ』
『…うん』
『お姉ちゃんが、本当のお姉ちゃんが、もう死んでたなんて、あたし…あたしは……ッ!』
――なにひとつ、わかんなかった。
未来はそう泣き叫び、崩れ落ちた。
あたしはそれを咄嗟に支えて、未来と一緒に座り込んだ。
病院の踊り場は、とても冷たかった。
未来はその床に額をこすりつけるようにして、死に物狂いで泣いていた。
あたしは、そんな友達を見つめて、ただ何も出来ずに居た。
思い出したら吐き気がした。
たぶん絶対、気のせいだけど。
空が次第に暗くなって、今じゃもう街灯の明かりだけが頼りだ。
閑静な住宅街は、暗くなるとまた静けさを増し、けれど弱まる気配のない土砂降りの雨のせいか、それほど静けさを感じることはなかった。
あたしはすでに走ることをやめ、ずぶ濡れ風邪引きどんと来いって勢いで雨に打たれつつ歩いてた。
雨に打たれながら外歩くっていうのも悪くないわ。若干10代の青臭さが匂いすぎてアレですけど。


