『……あたしのお姉ちゃんはさあ』と、未来は言う。
『怒りっぽくて、高校の時からヘビースモーカーで、お酒が大好きで』
『…うん』
『怒るとすぐ手が出るし、口は悪いし、最近は変な関西弁使うし、バイトの面接は落ちまくるし』
『…うん』
『料理下手くそだし、掃除も苦手だし、女子力の欠片もないし』
『…うん』
『でもさあ』未来の声色は穏やかだった。
『うん』相槌を打つあたしもつられた。
『たまに優しくて、一緒に買い物とか行ってくれて、悩みも聞いてくれて、あたしがバカやるとちゃんと怒ってくれて』
『…うん』
『懸賞が当たった時は一緒に騒いでくれたし、あたしが悔しい思いした時は一緒に泣いてくれたし、』
『…うん』
『でも、そのあとはちゃんと、あたしが笑えるように、お姉ちゃんが支えてくれてさあ』
『…うん』
『だからね、キョウちゃん。あたしはね』その声は震えていた。
『――あたしはね、お姉ちゃんがね、すっごい、大好きだったよ』
また未来が泣き始めるから、あたしはその背中をぽん、ぽんと叩いてやる。
そしたら更に泣きじゃくるから、ホントどこの子供だよって内心でツッコミ入れたりしてた。
そんな子供に逆戻りした未来を、受け止めるって言ったのはあたしだから。
投げ出さないし、投げ出す選択肢なんてないのである。


