――『ウチのお姉ちゃんさあ、アンドロイドなんだって』
未来はあの時、あたしに抱き着いたまま、確かにそう言ったのだ。
聞き間違いかと思った。否、そう思いたかったって方が正しいかもしれない。
あたしは『は?』だか『え?』だか、とにかく唖然としたような声で反応を示したと思う。
つい数秒前まで未来があたしの肩で涙やら鼻水やらを拭っていたことに怒っていたあたしだから、唐突のカミングアウトにまともな返事を出せるわけがなかった。
『だからね、ウチのお姉ちゃん、アンドロイドなのよ』
『……Android?』
『やたら流暢に言わなくてもいいから。いいのいいの、信じてもらえるなんて思ってないし』
いや、あの、信じるも何も、あたしの後輩に居るんですけど。
アンドロイド(心の底からムカつくヤツが)。
けれどそれを今この状況で話したとして、未来の悩みというか苦しみと言うか、とにかくそういう心のわだかまりみたいなのが取れるかって聞かれたら、たぶんそれは違う。
だからあたしは、信じるとも信じないとも肯定しなかった。
未来がそれをどんなふうに受け取ったのかはわからない。
わからないまま、未来は話を続ける。
あたしの背中にしっかりと回る腕の力は弱まる気配を見せないので、未来はどうやらこのまま話を続けるつもりらしい。
いや、いいけどね、別に。


