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コール音は10回くらいだったはず。
なんでこんなに電話出ないのいつもの春人だったら2秒くらいで電話でるでしょアイツ何やってんのって思ってたら、スピーカーから聞こえてきた声が、
『……はい』
ノアのものだったから納得した。
たぶんあたしからの電話だったから出たらめんどくさいことになるんじゃないかってことがすでに理解できてたんだと思う。
でも出なかったら出なかったで後々あたしがめんどくさいこと言ってきそうだってこともまた理解してたんだろうと思う。
ノアはそこらへん、学習能力が高くて何よりだ。
で、出るか出ないかの2択を迫られ、結局あたしがめんどくさいことの方が嫌だって選択肢に落ち着いたようだ。
しぶしぶ出たんだろう電話の向こうのノアは、いつも以上に冷たい気がした。
いつものことだから気にはしない。
「今日はノアが携帯持ってたんだ。」
『うん。』
「そろそろ自分の携帯買いなよ、ややこしいから。主にあたしが。」
『なんであんたのために俺が携帯買わなきゃなんないの。』
「だったらあたしが春人に連絡取ろうとしてかけた電話をコール10回も待たせて出るんじゃねえよ。」
『なに、ハルに用事なの。』
「うん。あでもノアでもいいや、どっちでもいい。」
『なにそれ。』
「今から桜井家にお邪魔したいんだけどいいですかってことが聞きたかっただけ。」


