「……未来さん。」
「なあにキョウちゃん」
「弥生さんのご容体は。」
「あー、大丈夫大丈夫。焦って病院来たのがバカみたいなくらいだわ」
廊下を歩いていた未来が角を曲がる。もちろんあたしもついて行く。
その先は階段で、未来は上る方を選んで階段を上がる。
あたしも階段を上る。
「そっか。それはよかった。」
「なあにキョウちゃん、心配してたの?」
「否定はしない。」
「素直じゃないなあもう、このクーデレめ☆」
「黙らっしゃい。」
階段を上りきる。また上る。
「…未来さん、どこまで上るのかしら。」
「もっと上。超上」
「エレベーターをお使いになられてはいかがでしょう。」
「それじゃダメなのー」
笑いを含んだ未来の言葉が壁に反響して聞こえる。
未来があたしに背を向けてから、まだ一度も振り向いていないことくらい、あたしは気づいている。


