「すんません!この街で一番デッカイ病院ってどうやったら行けますか!」
我ながらダセェなこの質問。
しかし日本人は親切な人が多いことで有名なので、例に漏れずあたしが道を尋ねた見知らぬ方も戸惑いながらあたしのダセェ質問に立ち止まって答えてくれた。
「え、病院?」
「そうです病院です一番デッカイ病院」
「えーっと…たぶん、反対方向です」
全力で泣きたい。
「ありがとうございまし、たッ!!」
最後の“た”を言うや否や、あたしは右足の踵をギュルンと反転させて方向を変える。
こういう時だけ役に立つ自分の運動神経。滅多に使い道ないからフル活用してくれるぜ。
という思いを込めて全力疾走。
鞄を二つも抱えて走るのはそれなりにツライんだけど、次第にどうでもよくなってくるから不思議である。
とにかく、早く。
できるだけ早く、未来に会わなければならないと思った。
なんだろうか。理由はよくわからないけど、たぶん、こういうのを“嫌な予感”っていうんだと思う。
あたしは今、“嫌な予感”に駆り立てられている。
ような気がする。
そのまま走り続けていたら、病院のシルエットが視界の端に映った。


