「…あたしなんかしたっけ?」

「まあ常になんかしてるからあたしには理由がわからないよ。」

「それならキョウちゃんも呼び出されていいはず」

「否定できない。」

「あはっ。んじゃまあ、とりあえず行ってきまーす」

「いてら。」


藤原or萩原くんの席から立ち上がった未来は、あたしにひらひらと手を振ってから、教室を出て行った。


数分後、教室に戻ってきたのはスーさんひとり。

未来の姿はどこにもなかった。

そしてどういうわけかこちらへと歩いてきたスーさんに、あたしは当然の如く尋ねた。


「あれ、未来さんは?」


スーさんはその問いに答えることなく、あたしの席の横に置いてあった未来のカバンを手に取って、机の上に置いた。

なんで未来さんのカバンをあたしの机に置くんですかねこの人。と思っていたあたしに、ようやく口を開いたスーさんは言う。


「…朝倉、これあとで浜田に届けてやってくれ」

「なんであたしが。」

「浜田がそう言よったけん、頼む」

「理由は。」


未来はどこに行ったのか。

どうして鞄をあたしに届けてほしいのか。

その理由は。



「…お姉さんが、倒れたらしい」




なるほど、今日が土砂降りなわけだ。