充電終わったらキスしよう





あたしはそれだけ吐き捨ててからリビングを出て部屋へ向かう。

まあ遠回しに“さっさと連絡しろ”っていう意味である。


それがわからない泉ではなかったようで、あたしがしばらく部屋でゴロゴロしているとドアをノックする音のあとに泉が部屋に入ってきた。

右手には携帯が装備されていて、けれど番号を教えろとかそういう表情ではなく、呆れたような顔だった。

つまりはもう話したってことだと思われ。


「…相変わらずうるっさいよねーあの人さー」


と泉がワザとらしく声を大にして言うと、携帯から『あ゛ぁん!?』とかいう怒声が聞こえてきた。間違いなく弥生さんである。

泉は右手に握っていた携帯を耳に持っていき、テキトーな口調で「あーごめんごめんまさか聞こえてるとは思ってなかったわー」とかほざいてやがる。

コイツは人を怒らせることに関しては天才的なのでしょうがない。

携帯の向こうで弥生さんがギャースカ言っているのがあたしにもよく聞こえていたけれど、泉はそんなのお構いなしというように、耳から携帯を離してあたしに投げてよこした。

思わず携帯をキャッチしてから泉を見上げて「なんぞ」と目で訴えると、ヤツは「ミヤコと話したいんだってさー」とだけ言ってあたしの部屋からさっさと出て行ってしまった。

あたしは閉まるドアを見届けてから、あぐらをかいて携帯を耳に当てる。

途端に弥生さんの怒声がクリアに聞こえてきたので反射的に耳からスピーカーを遠ざけた。


『っちゅーかアンタ久しぶりに電話かけてきたかと思たらなんやのウチに喧嘩売ってんねや!?おいコラ聞いてんのか泉返事しろや別にウチかてこの口調したくてしてんとちゃうんやぞそこらへんわかれや泉キサマアアッ!!』


なんとなくアイツが弥生さんになんて言ったか把握できた気がするけどまあ聞かなかったことにしよう。