「……何か用事でもあるんですか」
試しに聞いてみたら、弥生さんは腕時計から顔を上げ、あたしを見た。
タバコを口から離し、薄い煙を吐いてから答える。
「用事っちゅー用事でもないねんけど、ちょっくらバイトの面接になあ」
「はあ。特に用事でもない感じのバイトの面接の用事ですか」
「キョウちゃん、意味わからへんでそれ。日本語喋りーや」
「善処します。」
「善処止まりかいな」
そう言って笑った弥生さんの笑みはホント未来に似てる。
きょうだいってそんなに似るモンなんだろうか。
じゃあなんだ。
あたしとあのクソ兄貴も似てるってことか。似てるってことなのか。
鬱だ死のう。
と、あたしが思ったのと同時に、弥生さんも笑みを消して小さなため息をついた。
あたしの鬱がうつったのか。
……あ、いやシャレじゃないからホントマジで。
「……年下に頼るんも気が引けるんやけどなあ」
ぼそっとそうつぶやいた弥生さんは、少し申し訳なさそうな表情でもう一度あたしを見た。


