弥生さんはそんな未来さんを一瞥してから話に戻る。
裏鉄拳喰らわせたところに一応お茶の入ったコップを当ててあげる辺りお姉様マジ天使。
「……んー、まあ、せやな。アイツ外見完璧やし、それもモテる理由やったなー」
「……はあ」
「でも、それだけちゃうねんなー、泉がモテとった理由」
「……そうなんすか。」
「うん。ウチもいろいろ、支えてもろてたし」
「……なん…だと…」
信じない。
あたしは信じないぞ。
起き抜けの妹に本気で四の地固め喰らわしてくるようなあのクソ兄貴が誰かを支えてあげていたなんてあたしは信じないぞ!
と、いうあたしの心境が伝わってしまったのか、弥生さんはニシシと笑った。
「キョウちゃんはわからへんやろなあ。妹やし」
「妹が一番わかるのかと思ってました…」
「ま、普通そうかもしれへんけど、たぶん泉の場合は逆やねん」
「逆っすか」
「せや。ウチと妹みたいな感じもそれやな。たぶん妹は、ウチのこと怖いとかウザいって、思てるはずやでー」
…いや、お姉さん。
真逆ですから。それまったくの勘違いですから。
未来さんはあなたのことが、大好きなんですよ。
そう、言ってあげたかったけど、弥生さんの、未来を見下ろす瞳を見つけて、やめた。


