充電終わったらキスしよう





……あー、うん。実感してきた。

じわじわ来る。じわじわ来るぞ。

コイツが居る。

春人が居る。


……“先輩”だ。

あたし今すっごい“先輩”だ。

新学期早々フレンドに名前を間違われようがツッコミどころ多すぎて困ろうが欠伸をしようが何しようが、“先輩”だ。


「……ありがとう春人クン」

「へ?何がですか?」

「キミのマスク姿のおかげであたしは今とても“先輩”というものを実感させていただいているよ。」

「ホントですか!?なんかすっげーうれしいです!」

「お前に冗談が通じないことは理解済みだがそこまで素直に喜ばれるとどうしていいかわからない。」

「へっくしっ!」

「…………。」

「んあ、すいません!なんて言いました!?」

「…………。」


返事の代わりにそっとティッシュを差し出したら、春人は「ありがとうございます!」と、ホントにうれしそうにティッシュを受け取った。

コイツはたしか花粉症も持ってたような気がするので、たぶん今は風邪と花粉症のダブル攻撃を受けているんじゃないかと思う。

もうその鼻切り取ってしまえ。

と思った瞬間に「へっくしっ!」とくしゃみをしやがった春人クンになんていうかやっぱどうでもいいです。