充電終わったらキスしよう






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「ゲホゴホッ」

「…………。」

「へっくしっ」

「…………。」

「ずずずーっ」

「…………。」

「うあ、先輩離れてくださいうつりますよっ!」

「なんかもうアンタらしすぎて涙が出てきた。」


クラス表を見に行くと、そこには新学期の名物と言えるほどに生徒たちが群れていた。

あたしや未来たちが『これだから新学期は…』『新学期?なにそれこわい』とかなんとか言いながら、群れの外で新学期早々ため息をついていたところ。

クラス表の前を陣取る集団の中から、見慣れた華奢な姿を横目にキャッチ。

あたしがそちらへ顔を向けるのと、ヤツがあたしに気付くのはほぼ同時だった。

けれど、ヤツが『あ、キョウちゃん先輩!』と笑うのに対し、あたしは呆れ顔を浮かべてみせた。

何故なら、ヤツ…っていうか春人が、さっそくマスクをしてご登場してきたから。

あたしはもう目頭を押さえることしかできない。

目の前で春人があたふたしていようが、あたしには何もしてやれることがない。


「あ、あの、先輩!?」

「…なんていうか、ホントお前…春人だよな…」

「はい、え、俺ずっと春人ですよ!?」

「うん、わかる。マスクしてくしゃみ連発してるところとか特に」

「さすがキョウちゃん先輩ですね!」

「いやうれしくねぇよ。」