バシンッ!という乾いた音が、体育館に響き渡る。
その後すぐにキャーキャーと女子生徒の喜びの声が上がった。
あたしは体育館の壁に寄り掛かって、あぐらをかいてそれを見ていた。
相手チームの得点がひとつプラスされたので、そろそろたぶん、あたしが呼ばれる。
「あーあー」
隣から、疲れたと言いたそうな声色で、未来さん。
「クラスマッチとかダールーイー。運動嫌いなのよあたしはー」
「コートの中でまったく動いてなかった、否、動けてなかったお前が何を言う。」
「だってボール怖いじゃん!すんげえスピードで飛んでくるんだよ超こわい!相手バレー部多いんだよなんだよ!こっちはキョウちゃんしか居ないっつーのに!」
「他のクラスメイトに謝れ。」
「あら、ごめんあそばせ☆」
「お前なんか滅びればいいのに。」
「なによーテスト終わったんならこの日を休みにして生徒をパァーッと遊ばせるべきだわ!」
「テスト前も散々遊んでたのはどこの誰だよお前だよ。」
「なんですって!ちゃんと勉強したわよ!キョウちゃんがやったプリントで!」とかほざいていらっしゃる未来さんなど虫に限る、違った、無視に限る。
あたしは「ふいー」とため息ともなんともとれない息を吐いて、後ろ頭も壁につけてしまう。
天井がよく見えるようになったところに、バレーボールが綺麗に上がった。