充電終わったらキスしよう





未来さんの「ねえねえキョウちゃん教えてよねえねえ2人で何してたのねえキョウちゃんってば」という質問攻撃から逃げつつ、あたしは1年生の輪の中に居る春人へと視線を向ける。

すでに友達ができたのか、それともノアが友達になってくれていたのか、どちらかはわからないけど、春人はクラスメイトと楽しそうに笑っていた。

自分の足で、今まで歩いたことのないような距離を歩き切ったその表情は、誰もが一目見てわかるほどに晴れやかだ。


あんたの成長するところが見れてキョウちゃん先輩はとっても嬉しいよ。

スーさんに説教喰らったっていうのを抜きにできたらもっと嬉しかったよ。


春人は今日、帰ったらノアに話すだろうか。

自分の足で歩き切ったよって、ノアに話すんだろうか。

ノアは喜ぶだろうか。褒めるだろうか。それとも。


……いや、やっぱいいか。

わかんないこと考えても意味ないしね。

とりあえず今日は、春人お疲れってことで。


「…あ、キョウちゃんキョウちゃん、なんかスーさんがこっち来たよ。もう帰るのになんかこっち来たよ」

「こっち来んなし。」

「朝倉ー、お前は先生と一緒に帰ろうなー」

「なにそれこわい。」

「勝手に列から消えられるとしんけん困るけんなーなんなら手を繋いで帰ってもいいくらいなんやけどなー」

「なにそれもこわい。」

「キョウちゃんがんばって☆」


なにゆえあたしは遠足でこんな目に遭っているんだろうか。