充電終わったらキスしよう





「せっ、先輩っ、いきなり押さないでくださいよーっ!」

「すまんすまん。いやあんまりにもお前の歩く速度が遅いから手が滑った。」

「滑ったとか言いながらまだ押してるじゃないですか!」

「はい前向いて、足を上げて、大地を踏みしめて歩くんだ春人。」

「先輩それ何キャラですか…」

「どこぞの教官的な。」

「違うと思います…」

「はいはい細かいことは気にしたら負けだからさっさと歩こうね春人クン。(にっこり)」

「目が、目が笑ってないです先輩!」


あたしのにっこり笑顔はレアだぞレア、とか思いながら春人のリュック、もとい背中を押す手は下ろさない。

春人の歩く速度で歩いてたら日が暮れる。

『遠足で行方不明』とかいう見出しの記事が明日の朝刊くらいに載ってもおかしくない。

なので背中を押しているのだがしかし、春人の足はもはや60代から上の高齢者の方々よりも年老いているかのごとく重い。

それはもう進まない進まない。

ついには足を止めて、膝に手をついてゼェハァ言ってる春人クン。

お前…いくつだよ……。

って割と本気で心配しますよね。涙目ですよね。

まあしょうがないか。ここまで長時間、長い道のりをひたすら歩いたことなんてないからさ。

体育の準備運動とかジョギングとかでも酸素不足になってるくらいだから、楽しい楽しい遠足なんて春人にとっては地獄なわけだ。

あたしは小さくため息をつき、かがんで春人の顔を覗き込む。