充電終わったらキスしよう





その飴ちゃんから、飴ちゃんを持っている手を辿って、差し出し主の未来さんを見た。

いまだに飴をもぐもぐしている。

今ふと思ったんだけど“飴をもぐもぐしている”って表現なんかおかしくないか。

普通こう、“いまだに飴を舐めている”とかじゃないか自分。

まあそんなあたしの語彙力のおかしさなど今はどうでもいいとして。


「…一体これはなんだね未来さん。」

「なんだねって、何よ。飴ちゃんよ、飴ちゃん」

「それは見ればわかる。」

「あげるっつってんのよ。」

「あげるとか一言も聞いてないぞあたしは。」

「ホンット捻くれてるなキサマ素直にもらってしまえばいいのよ!」

「はあ、そうすか。あざます。」


さっきのさっきまで「あげる気ないんだけどね!」的なことをほざいていやがったのはどこの誰だよお前だよと言って差し上げたかったのだがそこは耐えた。

なんで突然くれる気になったんだろうかと。

何か裏でもあるんじゃないかと疑ってしまうのだけれども。

もしかしてこの飴ちゃんは毒入りなんじゃないかと本気と書いてマジと読もうかどうしようかちょっと考え込むくらいの勢いで疑ってしまうのだけれども。

あたしは自分の手のひらに載った飴ちゃんをじーっと眺めながら歩く。

相変わらず景色は大自然。


「えーっと、学校から歩いて1時間くらいは経ちそうねー」


どっかのブランドなのかちょっと可愛い腕時計を見つつ、未来がそうつぶやいた。