「……37度9分。」
「体温計もなしでわかるんですか!?」
「いや、まったく。」
「……そうなんですか…」
「でも熱が上がってることには間違いないから。」
「うぅっ……」
あたしの手が冷たいせいではなく、春人の額は普通の温度を上回っている。
長年(ってそこまでじゃないけど)誰かさんの看病をしていれば体温計なしでもそれくらいわかるのだ。
ソファに再び頭を乗せて嘆いている春人の腕を掴んで引っ張る。
「はいはい嘆いてないでお部屋に行きましょうねお熱が上がったら大変ですからね。」
「それ何キャラなんですか先輩……」
「小児科の看護師さん的な。」
「…たぶん…違うと思います……」
春人に苦笑を浮かべられるとかそんなバカな。
とか言ってないで早く自分の役目を果たそうねそうしようね。
あたしは立ち上がりざまに春人を引っ張り、立ち上がるように促す。
「ほら、立って。さすがにあたしはもう春人のこと抱えきれないから自分で歩かないと部屋行けないよ」
「うー…でも、ノアが……」
どうやら春人が部屋に行きたがらない理由はノアらしい。


