警告音が鳴ってからのコイツは重い。
それはいつぞやかの出来事でわかってはいたがやっぱり実際支えてみると改めて思う。
やっぱコイツはアンドロイドだ。人間の重さじゃない。
……いや人間の重さじゃないとか言っといてアレなんだけど人間を抱えたことがないですごめんなさい。
あたしが誰とも取れない誰かに懺悔していると、階段を駆け降りる音が聞こえてきた。
開けっ放しのドアを潜って、そのままの勢いで春人はあたしに走り寄る。
「きょっ、キョウちゃん先輩大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ問題ない。ってかお前遅すぎだろどう考えてもあたしより先にリビング来てるべきだろ何があったし。」
「あ、えっと~…充電器探してました…すみません…」
「どうしてそうなった。」
「ノアって結構律儀っていいますか…充電器ちゃんと仕舞うみたいなんです。その仕舞ってる場所、俺知らなくて…」
「聞いとけよ!心の底から!」
くわっと怒鳴るあたしに「す、すみませんっ!」と怯える子犬の如く縮こまった春人の手から充電器を受け取って(否、ひったくって)ソファに一番近いコンセントを探す。
見つけると間髪入れずにコンセントにセットしコンマ単位で充電器を春人へと投げてよこした。
あわあわと充電器をキャッチした春人は、けれどすぐにノアの充電挿し込み口へそれをセット。
今の今までずーっと鳴り続けていた警告音が、嘘のようにピタリとやんだ。


