「キョウちゃん先輩!」
こちらに駆け寄ってきながら、春人はあたしを呼ぶ。
あたしも無駄な思考は停止させて、支えて居たノアへと視線をよこして春人に合図する。
「リビングでもどこでもいいから早く充電器持ってきて。じゃないとそろそろ警告音が、」
――ピーッ、ピーッ!
「……鳴ったし。」
「あわわわわそんなに充電なかったんですか!?」
「ギリッギリセーフ。泉が居なくてよかった…」
「あのっ、リビング行ってください!俺充電器持ってきます!」
言うや否や階段を駆け上って行く春人クン。
まさかの行動力である。
あたしはその華奢な背中からリビングのドアへと顔を向け、支えて居るノアの腕をよいしょともう一度肩に載せ直した。
距離が近くなると、自然、うるさく鼓膜を突いてくる警告音。
「……あーもううるっさいなこの音どうにかなんないの…」
だとか愚痴を零しながら、ほとんど力の入ってないノアを引っ張ってリビングへと向かった。
リビングのソファに辿り着くと、あたしはそこにノアを寝かせた。
それからあたしはその脇に座り込んでゼェハァと息を吐く。


