あたしは泉から視線を外し、手嶋先生へと向き直る。
それからノアに巻き付いている毛布を指さして言う。
「あのー、この毛布、借りてもいいですか」
「いいわよ~。今度学校に来るとき、持ってきてくれたらうれしいわ~」
「わかりました。ありがとうございます」
あたしがそう言って頭を下げた後に、泉が「それじゃ、今日はありがとうございました」と軽く一礼して、先生に背を向けた。
それに続くようにあたしも出入り口へと向かう。
ドアを開けて出ていく直前、手嶋先生が「お大事に~」と言うのが聞こえた。
車に行く少しの間、あたしは泉に抱えられたノアが落ちやしないかと内心結構ヒヤヒヤしていた。
泉は片手でノアを支えているだけなわけで、ノアもまったく力が入らないのかもう泉に頼りっぱなしである。
肩に担がれたノアの髪の毛が、泉が歩くリズムと一緒に揺れる。
そのたびに落ちる気がして、最終的にあたしはノアの頭を手で支えることにした。
それを泉が横目で見て笑う。
「そーんな心配しなくても落とさないってー」
「お前が心から信頼できる兄貴だったらあたしはこんなことしていない。」
「うわ、ひっどー。妹が死なないようにお兄様はいつも手加減してやってただろー?」
「解せぬ。」
背中を蹴り飛ばそうとしたけどノアを抱えてもらっているので寸前で耐えた。


