眼下に広がる光景が、なんだか妙に懐かしい。
なんて思いながら教室の窓枠に頬杖をつき、あたしは左の耳に入ってくる会話を黙って聞きつつ、下を見下ろす。
以下、左耳に(勝手に)入ってくる会話(と言う名のコント)。
「…あたし等にもあったよね、あんな時期が……」
「あったあった」
「自分の番号見つけた瞬間死んでもいいと思った」
「死んだら意味なくない?」
「そうだよねこの学校イケメン率マジ高いもんね死んだら意味ないよねそうだよね!」
「彼氏持ちが何を言ってる」
「彼氏持ちは散れ」
「むしろ爆ぜろ」
「みんなさらっとヒドイよね!」
「っていうかあんたも好きな人居るんでしょ!」
「すでに候補居るヤツも朽ち果てろ!」
「この子どんだけ飢えてんの」
「ってゆーかお前等なんで双眼鏡持ってんの。」
思わずツッコミを入れたら、隣で騒いでいた女子軍団に思いっきり鋭い視線を向けられた。
なんかもう獲物を逃がすまいとする猛獣の目だ。
恐ろしい。