あたしがラウンジへ戻ると、さっきまで自分の上着しか着てなかったノアに毛布がかけられていた。
「ウチの家族呼んできました。で、あのー、ノア…あ、そいつノアって言うんですけど、寒いって…?」
名前の説明が超絶適当になったのは気にしない方向で。
歩み寄りながらあたしがそう尋ねると、手嶋先生は「ううん~」と首を横に振った。
「とっても冷たいから、毛布あった方が…えっと、ノアくん?ももしかしたらあたたかくなるかもしれないし、朝倉さんのご家族の方もあたたかいかもしれないと思ってね~」
なんという気配り。
この人ホントなんなのマリア様なの女神様なの神様なの全部なの。
手嶋先生様ですね、わかります。
そういえばウチの兄貴は今ここに居る春人が実はノアということを知らないから、あの異様な冷たさを知ったらさすがに疑問に思うだろうし、先生の気配りはありがたい。
「…あ、ウチの家族ノアのこと知らないんです。ありがたいです」
「いいのよ~あらあら朝倉さん頭下げ過ぎよ~うふふ~」
どんな状況でも通常運行な手嶋先生を見習いたい所存であります。
まああたしが手嶋先生を見習ったところで未来さんとかに「どったのキョウちゃんあんたが気配りするとか明日隕石落ちるんじゃないの大丈夫なの」とか言われそうなんだけどね。
そんな気しかしないんだけどね。


