一瞬でもあたしがそんなことを考えたなど知らずに、手嶋先生は続ける。
「…実はね、前にも一度気になったことがあったのよ~」
「……はい?」
「いつだったかしら~…桜井くんが入学してすぐだったかしらね~。グラウンドで桜井くん、倒れたことあったでしょう~?」
えーっと…どれだ。いつの話だ。
もう春人とかノアとかがぶっ倒れるのデフォすぎて過去の話とかホント覚えてないんだけどどうしたらいいんだ。
グラウンドで倒れた時…グラウンド……あ、思い出したアレか。あの時か。
あの時の春人が実は春人じゃなくてノアだったっていうのを知った時の話か。
…ってなんかややこしいな。
「…あー、ありましたありました」
「その時にね~ちょっと“ん~?”って思う節があったのよ~」
「はあ…」
「だってね~?運ばれてきた桜井くん、異常に体温が低いじゃない?今まで運動してたのに、どうしてこんなに体温が低い…ううん、冷たいのかしら~って思ってたのよ~」
『あなたその…桜井くんとは、昔からの知り合い…なのよね…?』
そういえばあの時、先生があたしにそんな質問してきたなーと。
もしかしてアレは何か春人について聞こうと思ってたからかもしれない。


