泉が車を停めるや否や、あたしはシートベルトを外して助手席のドアを開けていた。
そのまま車から降りようとして、けれどちょっと考えてから泉を振り返る。
「あー泉は来なくていいから。ノ…(じゃなくて)春人を運ばなきゃなんないときは呼ぶからここで待ってて」
「はいよー」という気のない返事を聞き届けてから、あたしは今度こそ車から降りる。
理由とかなんだとか面倒なこと聞いてこないのは泉の楽なところかもしれない。
あたしは建物の入り口を目指して走った。
充電器を持ってこようかとも思ったけど、さすがにコンセント挿してると手嶋先生に発見されかねないと思ったのでやめた。
入り口のドアを開けるとそこはラウンジになっていて、いくつかあるソファの一つに、手嶋先生に支えられるようにして春人…ではなくノアが座っていた。
あの警告音は聞こえてこないから、まだギリギリ動けるってところか。
でも危険だし、やっぱりあとで泉を呼ぼう。運んでもらってなんぼである。
ドアの開く音で気が付いたのか、手嶋先生が顔を上げてあたしを見た。
「あらあら、朝倉さん」
「…こんばんは」
あたしが迎えに行くって伝えてなかったからか、先生は大変驚いている様子。
事前に伝えておくべきだった…。
あたしは先生とノアが座るソファまで足を進め、目の前で足を止める。
チラリとノアの様子を盗み見る。ノアはすでに呼吸が荒い状態だった。
これは早急に充電しないとヤバいかもしれない。


