というわけなのであたしに護衛など必要性を感じないのだがしかし、春人ママは頑としてあたしを一人で帰す気はないらしく、結局あたしにノアを押しつけて手を振った。
2人してげんなりである。
2人共“なんでお前と夜道歩かなきゃなんねーの”的なオーラダダ漏れである。
けれども春人ママの気遣いに文句も言えず、しょうがなくあたしはノアに送ってもらうことにした。
たぶんノアもしょうがなくあたしを送っていると思う。
送ってるってか、ただ一緒に歩いてるみたいな。
「……で、家どこ。」
「早くあたしと離れたいのはわかるが残念ながらもうちょっと先だ。」
「あっそう。」
肯定も否定もされなかったあたしはどうしたらいいんだ。
そうだ、話を変えよう。
「……そういえば、ノアって学校どうなの、楽しい?」
「……まあ、普通。」
「っていうかそういう楽しいとか悲しいとか、感情はあるんだよね」
「じゃなかったら今めんどくさいとか思ってない。」
「もうなんていうかお前には殺意しか芽生えないよ。」
たまーにちょっといいヤツかもしれないとか思ってしまう自分が悔しいわ。
まあね、感情がなかったらあたしにムカつく態度なんてとらないだろうよ。


