「…あ、そういえばノアは腹減ってないの?」
「……減ってない。」
「…っていうか充電が主食?」
「そうなるかも。」
「え、じゃあ何も食べなくても生きていける的な?」
「うん」
「なにそれすごい。」
でも充電する側は大変だけどねという気持ちは丸めて焼却炉に捨てることにする。
大変だけど嫌だとは思ってないしとか言ってみる。
あたしはポケットの中に入れてある小銭が何枚あったか思い出しながら購買へと向かう。
コンビニ行くのもダルイしなんでもいいからとりあえずパン買おう。
なんなら食パンでもいい。生食パンって案外美味いんだぜとか言ってみる。売ってないんだが。
何が残ってるだろうなーやっぱ一番不人気な『あんみつマヨネーズパン』ぐらいだろうなーっつーか誰だよあんなクソ不味いパン考えたのホントパネェよその度胸を見習いたいと心の底から思ってしまうよ。
とか『あんみつ以下略』を考えた方に尊敬の眼差しを向ける気分で購買までの廊下を歩いていると、向こうの方から声が聞こえてきた。
女の子2人の声だ。
購買の方向から歩いてきた女子生徒2人はどうやら1年のようで、あたしを発見した途端に焦ったように廊下の端に移動した。
そんなにかしこまらなくてもいいのよ。
と思いつつ、あたしは極力優しい言い方で「こんにちは」と挨拶などしてみる。
すると2人はものすごくビビった様子で、けれど「こ、こんにちは…!」と返してくれた。