「……なんか、ホントすみません…」
自分の目を押さえてどこの眼科に行こうかしらと考えていたあたしは、その落ち込んだ声に顔を上げた。
目線の先に居た春人は、心の底から落ち込んだ様子で、自分の足元を見つめていた。
さらさらした色素の薄い茶色の髪が、顔を隠すカーテンになってて表情が見えない。
でも確実に落ち込んでる。
このわかりやすすぎる雰囲気を落ち込んでいると言わずなんと言う。
「…は、春人クン?」
もしかして泣いたりしないよねこの人と心配になりながら、苦笑混じりに名前を呼んでみる。
すると春人はもう一度「すみません」と謝った。
あたしは自分が理解力低いって思ったことなかったから、春人の謝罪の意味がまったくもって理解できないことにビックリした。
まさかあの春人の言う言葉の意味が一年中一緒に居たと言っても過言ではないあたしにわからないだと。
バカな。
「な、なんで謝るのかキョウちゃん先輩ちょっとよくわかんないなー」
「…だってやっぱ、迷惑だったかなって…」
「うん、なにが?」
「……俺が一緒の高校とか、先輩、迷惑だった、ですよね」
コイツ素でムカつくよねホント。


