あたしもあたしで気疲れしたので、後ろの壁に背を預ける。
右手が冷たい。
もともと手はあたたかくないけど、でもその冷たさじゃなくて、無機質なものを触った後の冷たさ。
充電が切れかけたノアは、すごい冷たかったから。
けど人間の肌だった。
あたしの手が触れた背中は、ちゃんと人間の肌質そのものだった。
ただ温度が違うってだけ。
これで充電がいらなかったら、絶対アンドロイドなんて思わなかったはずだ。
充電のせいですべてがパァである。
充電爆発しろ。
「……コンセントのいらない充電器とかないの」
「……あったら使ってるし…」
「それもそっか」
「…………。」
「……ってかちゃんと充電できてる?」
「……うん」
「あ、そういえばブレザー更衣室に置いてきたな…」
「……うん」
小さくうなずいたノアの背中が、やけに寒そうに見えてしまった。


