充電終わったらキスしよう





脳内通常運行で騒がしいあたしは、開け放したドアの向こうに誰も居ないことに2回ほど瞬きした。

あれ、ここから音が聞こえなかったかしら。

あら、聞き間違いかしら。

え、それってあたしがマジでただの変態みたいじゃんちょっとやめてよお願いだから。

そう思った、直後。


ガシッと。

左足を何者かに掴まれた。

うおあああホラーかあああ!とか思わなかったけど反射的に下を見たのは否定できない。

そしてその手はヤケに白くて、腕とか異常に白くないかと思ったらそれはワイシャツの色でした。

ワイシャツを着てる腕を辿ると。


床に座り込む形で、ほぼ倒れてるノアがそこに居た。


『やっと見つけたしこのヘタレロイドめ』

『……ミャーコ、おそい…ってば……』


力量のない、息も絶え絶えな声で、ノアはあたしに文句言った。

文句言うならあたしに『充電切れるかも』とかメールしてくんなバカ。

メール来なくても充電器持って駆け付けちゃうんだろうけどね、あたしは。


電子音はまだ聞こえてこない。

まだ大丈夫。

あたしは弱々しい力で足を掴んでくるノアの手を握って、引っ張る。