まあ抜け出すことに関してはプロと言っても過言…すぎましたごめんなさい。
プロとは言わないけどそれなりに抜け出し経験豊富な分、他の人よりは技術上かと思われ。
そんな技術が人並み以上でキョウちゃん先輩は実に涙目である。
とか言ってないでとりあえずドアを目指す。
みんなが教壇へ行っている間にあたしはドアへ行くと言う悪事。
ハッ…しまった手ぶらで行ってどうする。
充電器は鞄の中にインしてるんだった自分バカス!アホス!
ドア付近まで行っていたというのにあの自席に舞い戻らなければならないのか。
クラスメイトはもうほぼみんな席について談笑してるよお前等もっとざわざわしとけよ!
立って遊ぶとかボール投げ合ってみるとか鬼ごっこしてみるとかしとけよ!
ごめん違った、しといてくださいませんか。
あたしはもはや四つん這いもいいとこな体勢でそそくさと自席に戻り、鞄の中から充電器を取り出す。
センセーはまだ課題の収集に追われている様子。
そのままこっち見んな。
嘘ですこっち見ないでください切実に。
鞄から充電器を取り出して再びドアを目指そうとしたあたしに藤原くん、間違った、萩原くんが『何してんの…?』って感じの視線を送って来たけど親指立ててやり過ごしてみたら萩原くんも親指立てて返事くれた。
彼は実に理解のある人だと思う。『うわ何コイツ超変人…』的な視線を一切送ってこなかったからね。
まあこのクラスであたしがそういうキャラになってしまっているからだよなという本音は建前で隠すことにする。隠れてないねモロバレだったね。


