そんな未来さんはこの間あたしに助け船を出してくれたわけですが、今回はそうもいかないようで。
なんせ現在ヤツは自席で黙々と何か、とか誤魔化さずに言ってしまうと課題をやっていやがるのだ。
この教科、たしかに課題が出てた。
え、キョウちゃん先輩はやってきたのかって?
……フッ、愚問だな。
もちろん白紙だぜ。
センセーマジごめん。
「えーっと、じゃあ最初に課題出してもらおうかな」
教壇に立って課題提出を要求するセンセーに内心で土下座してた時にふと思った。
みんなが課題出してる時のどさくさに紛れて抜け出せるんじゃないだろうか、と。
あたしの席は後ろだし。
窓際だけど後ろを素早く通ってあの開いてるドアを潜ってしまえばあとはこっちのもんである。
よっしゃーいっちょやってみようじゃないか朝倉京。
キョウちゃんじゃないよミヤコだよ。
教室中に椅子を引く音や、鞄を漁る音、ロッカーに探しに行く足音が響きまくる。
わらわらとクラスメイトが教壇に課題を提出しに行っているのを見計らって。
あたしも椅子を引く音に混じって立ち上がった。


