充電終わったらキスしよう





「褒めても何も出ませんよ」と言ったら「すまん、実は俺、褒めてないんだ…」とスーさんにしてはなかなかの返事が来た。

何様だよって感じだね。土下座しようね。

で、ちょっと笑いスキルアップしてるんじゃないだろうかと思われる鈴木のスーさんは、手に持っていた鍵をあたしの机に置いた。


「準備室にいろいろプリント置いてるけん、帰りのHR前くらいに取り行ってくれ」

「はあ」

「“なんで自分でしねーんだよ”っち感じやけん言うけど俺これから出張なんやし。」

「そうなんすか。ってかそもそもなんで準備室に置いてるんですか意味わかんないんですけど。」

「あー……うん、忘れてきたんだ…」

「センセー、すいません。“バカ”って言っていいですか。」

「言わんでやってくれるとセンセーすごくうれしい。」

「じゃあ“ウマシカ”で。」

「これから出張だと言うのに俺のライフが0になったらどうするんだ」

「あーじゃあもう行った方がいいと思いますいってらっしゃい。」


鍵をポケットに入れつつもう片方の手をひらひら振って見せると、スーさんはいつぞやの如くまた項垂れて背を向けた。

周りから「スーさんマジどんまい(笑)」「スーさんがんばれ超がんばれ(笑)」とかいう声が飛び交っている。

そのたびに「うるせえ黙れ!死にたくなる!」だとかなんだとか言ってる我らが担任カッコいじられ役カッコ閉じる。

いろんな意味で哀愁漂う30目前鈴木のスーさん。ご愁傷様である。


教室から出ていく直前に何回もあたしに向かって「プリント取りに行くまで絶対に鍵使うなよ!いいか、絶対使うなよ!」って言ってたんだけどスーさんてば何自分からフラグ立ててるんだろうね。

そこまで使うなって言われたら使いたくなるよね。使うことないけど。