「……キョーちゃんせんぱー…」
「お前はどんだけ呂律が回ってないんだ。」
「…せんぱー」
「はいはいなんでしょうか。」
さっきから寝起き(というかもはや寝言の域である)の声であたしを呼びつつ服の裾をクイクイ引っ張ってくる春人に視線を戻す。
いまだに瞼の動きがスローな春人は、服の裾からあたしの手へと引っ張る対象を変えた。
そのままずりずりと後ろ、すなわち壁側へとずっていく。
あたしの手は握られたままなので、自然に前のめりになる。
っていうかもうベッドに片膝乗ってやった。
言いたいことはわかるので。
「…キョーちゃんせんぱー」
「なんだい」
「…一緒、寝てくらはい」
コイツ酒でも飲んでんのかってくらい呂律回ってないんだけど大丈夫か。
まあでもまだ日本語として伝わる程度には喋れてるので良しとしよう。
で、あたしが予想していた通りの申し出だったわけだが。
「はいはいわかった。一緒に寝るからちょっと待て。」
すっかり忘れてたけど、あたしそういえばノアに言わなきゃならないことがあった。
スリッパで殴ったの、まだ謝ってないんだった。


