いまだあたしの言葉の意味が理解できていないらしく、首をかしげてあたしを見つめる阿呆さん。
の、名前は桜井(さくらい)春人。
桜と春ってお前どんだけおめでたいんだよっていう。
脳内花畑かだからそんなに能天気なのかそうなのかそうなんだな。
まあいいや別に。
春人の存在自体がなんていうかもうファンタジーに近いから。
春人の存在は三次元と二次元の境目を曖昧にしますから。
だからコイツの脳内が一年中花畑だろうがなんだろうが不思議じゃねぇよ。
「あ、っていうか先輩、聞いてください!」
「まだお前の説明終わってねぇよ」
「え、なんの話ですか?」
「なんでもない」
「じゃあ聞いてください!」
「はいはいなあに」
あたしが今返事をした相手が未来だったら、絶対「アンタ聞く気ねーだろ聞いてなかったらヌッコロスわよいいか耳かっぽじってよく聞けよ」とか言いそう。
未来さんマジ怖い。
でも今あたしが返事をした相手、春人はそんな気のない返事なんかまったく気にしてないようで、元気いっぱいに、
「俺、4月からまた先輩の後輩です!」
と、それはもう超ご機嫌で花も舞いそうな笑顔で言った。
否、言いやがった。


