「…うぅ…再会して早々叩いてくるとかさすがキョウちゃん先輩ですね…」
「そうだろ。喜べ」
叩かれた頭を擦りながらごにょごにょとつぶやくかつての後輩に、あたしはさらっと言ってのける。
だがしかし、あたしが今さらっと言いたいのはそれじゃない。
再会できてきゃーひさしぶりーとか再会できてこれは運命なのかしらとかそんな甘ったるいこと言うほど(考えるほど)あたしの頭は乙女じゃない。
残念ながら。
「…っつーかね、春人(はると)」
「はい?」
「あんた目立つんだからあたしに向かって手を振るとかあたしの名前呼ぶとかあたしの視界に映るのとかやめてくんないかな」
「先輩今さらっと酷いこと言いませんでした?」
「え、言ったっけ」
「そんなところも変わってないですね!」
「なんで満面の笑み浮かべてんだよお前はMか。」
「え、先輩なんで知ってるんですか!?」
「なにあんたマジでMなのうわー」
「はい、Mですよ!これもMです!」
「…………。えーっと、なんで今着てる上着のサイズを見せてくるのかな」
「だって、服のサイズのことですよね?」
「あんたバカじゃないの。」
素でこれだからコイツは困る。
天然とかそういう可愛いところ通り過ぎてただの阿呆だ。
救いようがない。


