「……幸先輩のお話、よく、分からないんですけど、きっと違います。」


“なんで?”って顔して
幸先輩は首をかしげてクロワッサンを口に放り込んだ。




「……だって、王子は…」



王子は和音ちゃんの事が
好きなんだもん。






って言おうとしたのに

言ったらきっと涙がこぼれちゃう。






幸先輩は私の頭をポンポンって軽くたたいて


「…もぅ、なんで泣くのさ」



って

困ったように笑ってた。