「…雪ってつくづく変わってるよな」
「は」
それってどういうことですか?
「や、会った時からそう思ってたんだけどさ」
「だって倒れてる奴に寝てんの?とか声かける奴なんか雪が初めてだし」そう付け加えて桜は笑った。
「それに雪はちゃんと人のことまで考えられるいい奴なんだな」
そう真剣に言う桜を見てなんだか恥ずかしくなった。
と同時に沸いてくる罪悪感。
あたし桜が思ってる程いい人なんかじゃない。
「雪?」
「…ごめん考え事してた。ほら、服選びに行こ?」
桜の声で我に返るとさっさと男物の服が置いてあるお店へと足を進めた。
「どれ着てもお似合いですね彼氏さん!」
「え、ああ、まあ…」
桜が試着室に入ってその近くで待っている間にお店の定員だろうか、女の人が話しかけて来た。
曖昧な返事をしてさりげなくその定員から離れる。
ショップ定員っての苦手なんだよな。
そう思いながらもさっきの定員の言葉を思い返す。
…彼氏、ねえ?
こんなあたしなんかと純粋な桜が恋人だなんて冗談にも程がある。
そう自分の中で考えることが可笑し過ぎて苦笑してしまった。
「雪」
「!…びっくりした、桜いたんだ気付かなかった」
「また考え事…?」
「ううん、大丈夫だよ」
「ならいいけど。あ、俺の服は十分買ったから」
「そ、じゃあ夕飯の買い物してから帰ろっか」
服屋から出て食料品売り場に向かう途中横にいる桜を横目で見る。
…かっこいいな。
周りを見るとすれ違う女の子からみんな視線が桜に向いている。
…あたしなんかが本当に桜の横にいていいのだろうか。
そう少しだけ思った。
