先生がいた。
想像はしていたけども。
先生は騒々しそうに耳を塞いだ。
職員室に向かう途中だと思う。
けど、生徒の壁で思うように進まない。
先生は無理やり生徒を押しのけて、
こっちに向かってきた。
しまった。
こっちが職員室だ。
私の背後には、先生が向かう職員室が・・・。
私はどこかに隠れようとしたが、見つかった。
「・・・よぅ」
先生は私の顔を見つめ、にやりと笑った。
私は顔を引きつらせながら、後ずさった。
女子の視線が痛い――・・・。
「ちょっと、あいつ誰よ」
「先生に挨拶されたわ」
執念深い女子ほど怖いものはない。
女子生徒の顔は怖くなるばかりだった。
私は後ろを向き、全力疾走で逃げた。
先生は後を追ってこずに、私の背中を見ていた。
まるで、明日が楽しみとでも言っているような笑顔で―――・・・

