気付けばそこは、保健室の扉だった。


「え・・・」
私は青ざめ、後退した。

辺りを見回せば女子生徒しかいなかった。



私は悟ってしまった。

皆、先生目当てだ―――・・・


私は関わりたくなくて、逃げようとした。

だけど、人だかりが昇降口までの通路を通してくれなくて、
そこに留まりざるを得なかった。

女子生徒は口々に言った。

「先生ぇ―!!出てきて――!!!」とか、
「私の相手、してよぉ―――!!!」とか。


何の話だってんだ。

少しは通行人の気持ち考えろや。



そこまで思って気付いた。


朔、どうやって帰ったんだろう。

あんな華奢な体で、こんな騒ぎの中、

向こう側まで言ったって言うのかな。

いや、案外朔ならできそうな気がする。



そんなことを考えた。


と、そこにいきなり歓声が強まった。

何事かと振り向けば、そこには――・・・