「あーあ…」


思わず漏れたため息。


「朔ちゃん?」


不安気に俺の様子を窺おうとするひなたを、乱暴に引き寄せた。


「わっ…」


胸に顔をうずめさせてぎゅっと抱きしめれば、何の躊躇いもなく抱きしめ返してくる。

ひなたの髪からふわりと香る甘い香りも、
肌に感じる柔らかさも、
こうしている時だけ少し速まる鼓動も、誰にも知られたくない。


……もう、手放せない。



「そろそろ、かな。」


本当はもう、とっくの昔に気づいていたのかもしれない。

認めるのが…あいつと正面から向き合うのが怖かっただけ。

負けるのが怖かっただけ。


でも、もう大丈夫。


俺は、負けないから。


想いは、十分膨らんだ。


絶対に、譲らない。


もう、我慢はしない。




「ひな…」

「んー?」

「明日、俺も一緒に行く。」




いい加減、


決着をつけよう。






【END】