……郁ちゃんのことは、キライじゃない。
“幼なじみ”として、普通にスキだ。
でも、恋愛感情はない。
むしろ、一緒にいると、ものすごく疲れるんだ―――
郁ちゃんは、私に“理想”を求めているから。
“おとなしくて控えめで、純粋で無垢な女の子”
“守ってあげなきゃ生きていけない”
何を勘違いしたのか、私のことをそう思い込んでいるみたい。
小さい頃から、ずっと。
郁ちゃんは、本当の私を知らないんだ。
ホントは全然、違うのに。
かと言って、本人にそう言うわけにもいかず……
イメージを崩さないよう、努力している私。
まさに“女優”。
完璧な演じっぷり。
郁ちゃんは“ピュア”だから。
私の“秘密”は、郁ちゃんには残酷すぎる。
だから、言わない。
いつまで隠し通せるかはわからないけど、
そういう約束だから。

