「芯!一昨日はごめんねぇ~っ」


ノックもなしに勢いよくドアが開いたと思ったら、

姉ちゃんが部屋に飛び込んできた。



2日ぶりだ。

あの日、俺にリンゴを買いに行かせたきり帰ってこなかったんだから。


「リンゴありがとね。おかげでついに完成したわよっ!」


早口でお礼を言うと、ジャジャーンと効果音をつけて俺の前に何かを差し出した。


「これぞ、夢にまでみた“惚れリンゴ”でーす!」



目の前には、リンゴ。

ただのリンゴ。

赤くて丸くて……


「あー、その顔は信じてないね?」


俺の表情から読み取ったらしい姉ちゃん。


「そりゃあ、見た目は普通だよ?見た目が変わってたら、バレちゃうでしょ?」


もっともらしい口調で言われて、思わず頷いてしまう。


「食べてびっくり、摩訶不思議!そういう発明品なんだよ、これは」


そう言って、ポンとそれを俺の掌に乗せた。


「まあ、試してみなさいって」