学園(姫)

「龍姫ぐらいコマス事が出来ないんじゃ、お前の未来も決まってるアルよ」

「あのなあ、コマス事を前提に付き合ってるわけじゃないんだぞ」

「自分を偽ったところで股間の塔は隠れないアル」

懐からりんごを取り出し、眠たげにしながらかじる。

何故にいつもりんごを持っているのか聞きたいところだ。

「人間の生きている意味ってのはそこにあるかもしれないが、俺はそれだけを求めて姫を好きになったんじゃない」

俺は吟ネエの目を見る。

「んー、じゃ、分かるアルな」

吟ネエは横になって、姿を隠した。

吟ネエは俺にヒントを与えるために、ちょっかいをかけてきたのか。

「まったく、素直じゃないって、おっと」

「捨てとくアル」

りんごの芯だけが上空から降ってきた。

「これくらい自分で捨てろよ」

しかし、俺が姫を好きになった理由に爺さんの好きな物が繋がってくるって事だよな。

俺は空を見上げる。

「姫、今しかないってんなら、今だけでもいい。最高の物を貰うぜ」

それが俺にとっても、爺さんにとっても、最高の贈り物になるんだ。

寝たはずの吟が顔だけを出している。

「なんだよ?」

「にんにく以上のくささがするアル」

「青春って奴さ」

俺達に足りない物は青春だ。

学生というのに、重すぎるんだ。

若いうちから老けてしまうよな。

「ま、龍姫をコマスために精進するアル」

「吟ネエ」

顔を引っ込めようとしたところを呼び止めた。

「ありがとうよ」

吟ネエは鼻で笑いながら、眠りに入った。