学園(姫)

「ほう、面白い」

必死にやっているというのに、余裕を失わない。

明らかに負けだと分かっているのだが、ここで引くつもりはない。

「たとえ、誰であっても負けない」

俺の中で丁寧語という壁が外れてしまう。

敵意をむき出しに攻撃してきた以上、かまってはられない。

「坊主が、ぬかすな」

更なる圧をかけられ、再び膝をつく。

「口がついてる以上は、言わせてもらう」

しかし、俺は負けじと、更に圧をかける。

「俺は、姫を守りたいんだ」

今言う事ではないはずなのに、口から自然と言葉が出てきてしまう。

「お前ごとき、何もない者が出来るか」

京四郎も俺の言っている事の意味は理解しているようだ。

京四郎の言うとおり、俺には何もない。

「何もないけど、誰にも負けない強い気持ちがある」

「気持ちだけではどうにもならん。それすら理解できんアホか?」

京四郎の俺を見る目が険しくなってくる。

「そんな事、俺だって分かってるさ。分かってるけど、認めない!」

「だだをこねれば自分の思い通りの話になるわけがない」

「訴えなければ、始まるもんも始まらないだろ!」

もう一段階、力をこめる。

「俺は!今の状況を金がないから仕方ないなんていう言葉で終わらせるほど、聞き分けよくいかせる気はない!京四郎!あんたは姫の気持ちを無視するっていうのか!」

「自分の都合のいいように考えすぎだ」

あっさりと力で覆られた。

「二人とも、やめぬか」

龍先輩が俺と京四郎の頭をはたいた。