学園(姫)

「さっきのおじさん、凄い力だったな」

俺はおじさんに会わないように学校にたどり着く。

「ふう」

今の時間は昼休みっぽいようだ。

ずいぶんと考えに時間を使ってしまったようだ。

校庭内では生徒がサッカーをしたりして遊んでいる。

俺は先輩の下に走る。

校舎の中に入ると、先輩は一人で階段を上っていくのが見えた。

後をつけると、屋上にたどり着いた。

「え?」

龍先輩の先にはさっきの厳ついおじさんが立っている。

サングラスを外し、笑顔を見せている。

龍先輩も喜びの笑顔を見せていた。

そして、龍先輩が抱きつく。

「うーん」

どういった仲なのだろうか。

彼氏?

年が離れすぎてないか。

女という生き物は浮気をしないかといえば、NOだ。

信じていても裏切られるなどといった行為も起きる。

確かに年上の男に惹かれるのはある。

しかし、龍先輩は男女関係に関してしっかりしてるし、付き合って間もない状態で浮気に走るという事は考えにくい。

ここは、信じる事にしよう。

情報が少なすぎるのに浮気をしているなどという安易な考えに走るのは、亀裂を呼ぶ元である。

普通の考えで行くならば、祖父と孫といったところだろう。

ここで何も見なかった事にするのは、後々面倒な話になるのは間違いない。

しかし、二人の喜びの対面を邪魔するのも何かしら問題があるといっていい。

二人は何か話しているようだ。

「ここは、去るか」

俺は階下に降りようとすると、襟首をつかまれる。

「え?」

「覗き見は楽しいか?坊主」

いつの間に来たのか。

厳ついおじさんは鋭い目で俺を見下ろしていた。