学園(姫)

「はあ、はあ」

私服姿でもよかったのかと今更ながらに悩む。

しかし、家に戻るのも面倒なので、突進する事に決めた。

気持ちが前に行きすぎて、普段出さないスピードで学校まできてしまう。

そのおかげで、学校に着いた時にはゲロを吐きそうになっていた。

休日の学校とはいえ部活動をやっているので、門は解放されている。

グラウンドで部活をしている生徒達の声も聞こえてきた。

しばらく休憩した後に門を抜ける。

旧館に向かおうとしてたところで、乾に出会う。

「乾さんか」

「まだ龍姫に付きまとっていたのか」

「付きまとうも何も、普通に接しちゃ悪いっていうのか?」

「龍姫に迷惑がかかる」

俺が死ぬ事で龍先輩を悲しませる事になる。

龍姫のためを思うのならば、身を引けといっているのだろう。

乾も人間で心はある。

乾の言っている事は当たり前の事だ。

だが、それでも、俺は龍先輩にプレゼントを渡したかった。

「実感がわいてないだけだ。すぐに邪魔者として見られる。その後は、言わなくても分かるな」

「分かる。けど、一度決めた事をやめるなんてしたくねえ」

俺はプレゼントを渡す。

覚悟は決めているのだから、逃げ腰にはなりたくない。

「目前の事しか見ていない輩だ」

乾の癖なのか、帽子を深く被る。

「お前のような輩は、野垂れ死ぬのがお似合いだ」

背を向けて校舎内へと入って行った。