翌日。

学校が終わり、龍先輩を校門で待っていた。

しばらくして、龍先輩だけが校門に近づいてくる。

いつもながらに思うが、他の誰も目に入らないくらいに可愛さが引き立っている。

むしろ、他の人達が龍先輩を引き立てているといったほうがいいのだろうか。

龍先輩贔屓になってみる。

「すまぬ、待たせたな」

今日も良い匂いをさせた、龍先輩が傍にいる。

「構いませんよ。しかし、吟ネエは?」

「分からぬ」

気でも遣ってくれたか?

いや、吟ネエの事だから、それはないような気もする。

「行きましょうか」

「そうじゃな」

「荷物、持ちますよ」

「そなたに負担をかけるほど、ワラワは疲れておらぬ。甘える気もない」

「俺が持ちたいんですけどね」

龍先輩のために役立つのなら、何だってしたいと思う。

肉食よりの草食、雑食系を極めたいところである。

結局、俺が先輩の鞄を持つ事はなく、先輩と家へと向う。

自分の事は自分でやりたいという気持ちがあるんだろう。

家に着き扉を開けると、誰もいる気配がない。

渚さんまでもが、出かけてしまっているのか。

龍先輩との勉強会は誰にも話しては居ないのだが、偶然か。

「じゃ、先輩、上がってください」

「少しばかり、緊張するのう」

挙動不審になりながらも、俺の家を確かめている。

小動物みたいで、抱きしめたくなる。

欲求を抑えながら、俺も家の中へと入った。