学園(姫)

「さてと」

プレゼントは持った。

戦が出来るように腹も満たした。

覚悟もついた。

忘れ物は何一つない。

つまらないテレビを消して、俺は家を出ようとする。

玄関付近で出会ったのは帰って来た渚さんだった。

「あら、丞さん、どこかにお出かけですか?」

「ちょっと学校まで行こうと思ってね」

「あら、休日に学校に?何か丞さんを喜ばせる物でもあるんですか?」

「うーん、あるといっちゃあるけど、ないといっちゃない」

「不思議ですね」

「そうだなあ」

俺自身は居て欲しいと願うだけなんだけどな。

「渚さんはどこに行ってたんですか?」

「ちょっとお買い物に行ってまして」

よく見ると、スーパーの袋らしきものを携えていた。

「何を買ったんですか?」

「吟さんに頼まれていた物を買ったんですよ」

「へ、へえ」

大きさから言うとお酒ではない。

これ以上は踏み入れてはならないように思えてきた。

「きっと、渚さんも大変な思いをしてるんだろうな」

「いえ、そうでもありませんよ。私としても楽しい思いをしましたから」

「渚さんがそう言うんだったらいいけどっと、じゃあ、行ってきます」

「はい」

渚さんの笑顔を背にして、学校へと向う。